火垂るの墓 Grave of the Fireflies/世界が泣いた日本のアニメ映画史上最も悲しい映画!
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映画の概要
『火垂るの墓』(Grave of the Fireflies)は、1988年にスタジオジブリが公開した戦争アニメ映画です。原作は野坂昭如の短編小説で、彼自身の戦争体験をもとにした半自伝的作品。
監督は高畑勲が務め、アニメでありながら極めてリアルな描写で戦争の悲惨さと人間の尊厳を描いています。野坂昭如の実体験を元に作られた小説を題材にに作られた映画です。
素晴らしいアニメ映画として、世界中に涙を呼んだ名作です。
海外では「史上最も悲しい映画」として世界中を涙の渦に巻き込みました。
アニメは子供はもちろんのこと、大人でもその魅力を存分に楽しみ、味わう事のできる作品がほとんどと言って良いと思います。
夢の世界あり、ファンタジーあり、涙あり、笑いありの世界です。
この映画はアニメの世界では唯一「史上最も悲しい映画」、そして傑作として大きく海外の評価を集めた映画でもあります。
また、この作品に限らないのですが、アニメの映像がとても見やすく、背景描写、人物描写の一つ一つがどれをとっても優れていて、世界中のどのアニメを見ても、ディズニー映画やその他にも優れたアニメ作品は多いと思います。
同じ日本人だからでしょうか、私には高畑勲監督、宮崎駿のスタジオジブリの発するアニメ映画が一番、素直にスムーズに心に入って来て見入ってしまうほど感動できる作品ばかりです。
また、登場人物の心理描写などにも同じことが言えます。
共感できる部分がとても多く、理解しやすい映画だと言えます。
この「火垂るの墓」は、第二次世界大戦の戦争中の二人の兄妹を描いた作品で、著者である野坂昭如の過去の体験も盛り込まれており、世界中で放映されて反響を呼びました。
海外の人々の評価コメントがインターネットで紹介されていました。
その内容を一部紹介します。
★イギリス→自分がまさか映画で泣くとは思ってなかった。ましてやカートゥーンアニメで。
★アメリカ→アニメ史上最も悲しい作品の一つだね。→いや、アニメだけじゃなくて、すべての映画の中で、だと思うよ。
★アメリカ→心臓が切り裂かれるような思いだった。
★アメリカ→この映画はすべての高校の歴史の時間に観せるべきだと思う
★オーストリア→これだけ悲しみに満ちた映画は、他になかったように思う。
★フランス→トラウマになったよ。この作品に関する何かを聞いたり見たりするだけで、無意識に涙がこぼれ落ちてくるんだ
★エジプト→俺の人生の中で、映画で泣いたのはこの作品だけ。
★インド→すべての人がこの作品を観るべきだと思うね。アニメ作品として、反戦映画とし、僕の中で最高傑作だった。
ほとんどの感想がこのような、悲しみで胸が張り裂けそうだった、しかし傑作だった、というような内容です。
二人の兄妹「清太」と「節子」は戦争で家族を失い、親戚の叔母さんに引き取られる事になります。その際に、兄妹の両親が残した小さな財産を、お世話になる叔母さんの元に清太は持って行くのですが、戦時中です。
食料という食料の乏しい中、叔母さんは次々と兄弟のわずかな所有物などを食料などと交換して他の物に変えて行くのですが二人には自分の家に住まわせてあげるだけでもありがたいと思いなさいと、つらく当たります。
叔母さんは食事も自分の子供や身内には多く与えるのですが、二人の兄妹には明らかな差別待遇でわずかな量しか与えません。
そのような叔母さんの仕打ちに耐えかねた兄の清太は、妹の節子を連れて荷物をまとめ、出て行く決心をします。兄もまだ中学生位、妹の節子はまだ3才かそこらという幼さです。
二人はとぼとぼと歩きながら、廃屋になった家を偶然見つけ、そこを二人の寝床にします。
食料の乏しい中、兄は持っていた物をわずかなお金に変えて食料を調達したり、お金も底をつくと、他人の畑から作物を盗むという行為を繰り返し、幼い妹の食料確保の為に必死で動き回ります。
ですが、他人の畑の物であるのと、食糧難の時代、すぐに畑の持ち主に見つかってしまった清太は、半殺しのような目にあい、畑からの調達自体もできなくなってしまいます。
妹の節子はその頃から人気のサクマの缶に入ったドロップ(キャンディ)が大好きで、そのドロップ缶をいつも大切に持ち歩き、少しずつ食べていたのですが、そのドロップも全部食べ尽くしてしまい空になってしまいます。
食糧難の時代、兄の清太もまだ14、15才位の子供です。食料の調達も難しくなる中、妹の節子は栄養失調で倒れてしまいます。
大好きだったドロップ缶の中にキャンディのつもりの石ころを入れて、お兄ちゃん、美味しいよと、口にほおばりながら、兄の清太に石ころをキャンディと勘違いして進めるような幻覚を見るほど衰弱してしまっていたのでした。
あわてて清太は、節子の口からその石ころを取り出します。
このように子供のアニメ映画にはあまりない、悲しい涙を誘うようなシーンも多いのですが、名作です。見る者の心を惹きつけて離しません。
公開時の映画館で見ていた時には、このシーンがあまりにも辛く悲しい部分で、あちらこちらからすすり泣く声が聞こえて来ました。
私自身もあふれ出る涙を止める事はできませんでした。
涙無しでは見れないシーンだったのです。
節子はすっかり衰弱してしまいました。
清太は必死で弱った節子を助けようとするのですが、節子はもう動くこともままならなくなってしまっていたのでした。
この映画のあらすじなどは情報化時代、ネットで検索すればすぐに見つかります。
なのであえて言いません。どうか、この映画を見て下さいと言いたいです。
この映画の中での蛍の出る美しいシーン、節子の愛らしい雰囲気、しっかり者の清太の素晴らしく優しいお兄ちゃんぶり。
名作です。
涙する部分はたくさんあります。
日本の戦時中の人々の姿がこの映画を通して次々に垣間見えて来ます。
現代の日本は年を重ねるごとに、戦争を知らない世代が増えていきます。
私も戦争を体験した訳ではないので、その時の人々の気持ちも100%は理解し得ません。
ただ、この映画から体験者でなくても何かを感じ取る事は出来ると思います。
平和な日本で、いつまでも平和に戦争を知らず、武器に行ってしまうお金を生きる方に使う、人々が豊かな暮らしを続けて行けるような、そんな日本であってほしいと思います。
日本だけでなく、世界も同じです。
今も世界のどこかで戦争で苦しんでいる国があると思いますが、そのような国で真っ先に被害を被るのは、一般家庭であったり、幼い子供であったりします。
人は幸せになるためにこの世に生まれて来たと自分は思っているので、誰にも平等に幸せになる権利は与えられていると思います。
そのような世界が地球全体に広がる事を願ってやみません。
この映画は平和の大切さをしみじみと考えさせてくれる素晴らしい作品でした。
受 賞
日本カトリック映画大賞、ブルーリボン特別賞、文化庁優秀映画賞、国際児童青少年映画センター賞、シカゴ国際児童映画祭・最優秀アニメーション映画賞を受賞。同映画祭の子供の権利部門第1位に選出。第1回モスクワ児童青少年国際映画祭・グランプリを受賞。英「Time Out」誌とクエンティン・タランティーノが選ぶ第二次世界大戦映画ベスト50の第10位を獲得。ハリウッド・リポーター選出の大人向けアニメ映画のベスト10において7位にランクインした。
映画『火垂るの墓』の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作品名 | 火垂るの墓 |
| 原題 | Grave of the Fireflies |
| 公開日 | 1988年4月16日 |
| 原作 | 野坂昭如『火垂るの墓』 |
| 監督・脚本 | 高畑勲 |
| 音楽 | 間宮芳生 |
| 制作 | スタジオジブリ |
| 上映時間 | 約88分 |
| 配給 | 東宝 |
物語の舞台と背景
第二次世界大戦末期の兵庫県神戸市と西宮市が舞台。神戸は軍需産業の拠点として米軍の空襲対象となり、1945年6月5日の神戸大空襲で壊滅的な被害を受けました。清太と節子の兄妹はこの空襲で母を失い、疎開先の親戚宅を経て防空壕での孤独な生活を始めます。
兄妹の過酷な運命
14歳の兄・清太と4歳の妹・節子は、空襲で母を亡くし、父は海軍に出征中。親戚宅での冷たい扱いを受けた二人は自力で生きる道を選びますが、戦争による食糧不足と社会の冷淡さの中で、節子は栄養失調で命を落とし、清太もまた飢えと孤独の中で力尽きます。
見どころとメッセージ
- 高畑勲のリアリズム演出:空襲の音、食糧の描写、節子の衰弱など、細部にわたる演出が戦争の悲惨さを生々しく伝える。
- 子ども視点から描く戦争:幼い兄妹の視点から描かれることで、戦争の非人道性や社会の冷酷さがより強く浮き彫りになる。
- 火垂る(ホタル)の象徴性:短命で儚い命の象徴として、命の美しさと儚さを象徴的に描く。
なぜ『火垂るの墓』は語り継がれるのか
『火垂るの墓』戦争と命の尊厳を描いたジブリの異色作であり、心を揺さぶる“命の物語”です。『火垂るの墓』は、戦争の悲惨さを描くだけでなく、人間の尊厳、社会の冷淡さ、命の儚さを深く問いかける作品です。
ジブリ作品の中でも異彩を放ち、教育的価値も高く、国内外で高く評価されています。戦争を知らない世代にも、命の尊さを伝えるために、今なお語り継がれるべき名作です。
同じく戦争を描いたジブリ作品としては、『風立ちぬ』のレビューもおすすめです。
原作者・野坂昭如の戦争体験と文学については、こちらの特集ページをご覧ください。
高畑勲監督の代表作『かぐや姫の物語』の解説記事はこちら。
